2005/05/12

笑顔の魔法 (処女はお姉さまに恋してる)(宮小路 瑞穂)



業務報告~。
読み物広場に、SS「笑顔の魔法」を追加しました。
おとボクのヒロイン(?)、宮小路瑞穂さんの聖誕祭用のぷちSSです。
上のリンクからでも下のリンクからでも、お好きなほうから
どうぞなのですよ~。
上はいつものhtmlで、下ははてな仕様になります。
多分、はてなのほうが読みやすいはず。行間とかの関係で(えー)





笑顔の魔法(処女はお姉さまに恋してる)(宮小路 瑞穂)






「おはようございます、お姉さま!」
「おはようございます」
 登校途中、にこやかな笑顔とともに挨拶をしてくれた見知らぬ女生徒に対して、
こちらも挨拶を返した。
 ただそれだけのことなのに、その女生徒はとても嬉しそうな笑顔を浮かべて
去っていった。
「さすがは『お姉さま』ね。挨拶1つで生徒を1人トリコにするなんて」
「人聞きの悪いことを言わないでください、まりやさん……」
 隣を歩いていたまりやが楽しそうに呟く。
「お姉さまはみんなの憧れですから。奏も、瑞穂お姉さまがエルダーになられて
とってもとっても嬉しいのですよ~」
 にこにこと笑いながら奏ちゃんは言ってくれるけれど、まだエルダーに選出されて
から一週間ほどしか経っていないのだから、慣れるのは当分先のことになりそう
だなあ…。
「瑞穂お姉さまなら大丈夫ですよ。恵泉に転校されてからまだひと月ほどですけど、
すっかり馴染んでるじゃありませんか」
 由佳里ちゃんも嬉しそうだ。
 馴染んでるのかな…と思ったけど、奏ちゃんも由佳里ちゃんも僕のためを思って
言ってくれてるんだよね……。
「……そうね、まだまだ至らないところばかりだと思うけど、私なりにがんばって
みることにします。奏ちゃん、由佳里ちゃん、ありがとうね」
 2人に微笑みかけると、2人ともにっこりと笑ってくれた。



 キーンコーンカーンコーン
 チャイムが鳴り、お昼休みの時間になった。
「瑞穂さんは、今日のお食事はどうされますか?」
 隣の席の紫苑さんが話しかけてきた。
 紫苑さんは、僕が恵泉に転校してからできた最初の友人であり、僕が女装している
ことを知っている数少ない人の1人でもあった。
「私は今日は食堂でお昼をいただこうと思っていますが」
 先日、和食を食べようと食堂に行った時には結局食べなかったので、今日こそはと
思っていたのだ。
「そうですか。私はお弁当なのですが、ご一緒してもよろしいでしょうか?」
「もちろんですよ。では参りましょうか」
 紫苑さんのお誘いを断る理由もないので、僕は喜んで賛成した。
 紫苑さんと一緒に食堂に向かって歩いていると、
「お姉さま~」
 と呼ぶ声が後ろから聞こえてきた。
 振り返ってみると、奏ちゃんと由佳里ちゃんが小走りに駆け寄ってくるのが見えた。
「2人とも、廊下を走ってはダメよ?」
「あ、ごめんなさいなのです…」
「すみません、お姉さま」
 2人ともぺこりとお辞儀をした。
「それでどうしたの? もしかしてお昼かしら」
「はい!ご一緒してもよろしいでしょうか?」
 なんとなくお昼の誘いかな、と思ったら当りだった。
 今日はお誘いが多いなあ。
「紫苑さん、よろしいですか?」
「はい、構いませんわ。人数が多いほうが食事は楽しいですもの」
 紫苑さんに尋ねると、にっこりと笑ってくれた。
 僕、紫苑さん、奏ちゃん、由佳里ちゃんの4人は食堂に向かった。



「お姉さまは、今日は和食なんですね」
「ええ。この間は結局食べなかったから、そろそろ和食が食べたいと思っていたの」
 そういう由佳里ちゃんは今日もハンバーグランチだ。
「由佳里ちゃんは本当にハンバーグが大好きなのね」
「はいっ。えへへ……」
 本当に嬉しそうにハンバーグを頬張っている由佳里ちゃんを見ていると、こっちまで
なんだか嬉しくなってくるなあ。
 僕も今日のAランチの、鯖のみそ煮とひじきの煮付けをいただくことにした。
「……うん、おいしいわ」
 他の料理もそうだけど、ここの食堂はかなりレベルが高いらしく、どの食事でも
文句のない味付けだ。
「よかったですわね、瑞穂さん」
「ええ。特別、和食が好きなわけではないんですが、やはり普段食べられないと
なると、とてもおいしいと感じますね」
「なるほど。そういうものかもしれませんね」
 紫苑さんは僕の顔を見てにこにこと笑う。
「な、何かおかしいですか?」
「いえ、今の瑞穂さんは由佳里ちゃんと同じぐらい幸せな表情をしてますから。
ね、奏ちゃん?」
「はい。由佳里ちゃんもお姉さまもとっても幸せそうなお顔なのですよ~」
 そ、そんなに顔に出てたかな。確かに食事はおいしいけど。
 ふと由佳里ちゃんを見ると、由佳里ちゃんも僕の方を見ていた。目と目があった
僕らはなんだかおかしくなって、お互いに笑いあった。
 うららかな昼下がり、食堂には乙女たちの楽しげな笑い声が響いていた……。




































おわり♪


















あとがき
PCゲーム「処女はお姉さまに恋してる」のSSです。
や、すごく短い上にオチも何もありません。
ただ、瑞穂ちゃんに和食を食べさせてあげたいなーと思いまして。
けっして、昨日SS書こうと思いたったからではありませんよ?
では次回予告~(え?)



奏「6月、それは梅雨の季節」
由佳里「紫陽花の花が綺麗に咲き誇る教会の庭で、高らかに祝福の
鐘が鳴る…」
紫苑「次回、処女はお姉さまに恋してるSS。『ジューンブライド』」
まりや「お、6月ってことはもしや主役はあたしか~?」
貴子「まりやさんが結婚できるとはとても思えませんが」
まりや「なんだって~?」
瑞穂「それは、しとしとと降る梅雨に覆い隠された、6月の物語……」






それでは、また次の作品で。
��005年5月12日 宮小路瑞穂ちゃんのお誕生日~



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