2006/10/17

(ぷちSS)「スマイル・マジック」(Canvas2)(竹内 麻巳)






「上倉先生、今日こそは部活に来ていただかないと困ります!」
 昼下がりの食堂で偶然にも美術部顧問の上倉先生に会った私は、
いつものように先生を勧誘(?)していた。
 どうして毎日毎日毎日この私がこんなにも先生に文句を言わねば
ならないのか。
 それは、先生が部活に出てくださらないからだ。先生が少しでも
美術部のことを気にかけてくれていれば、私がこんなに怒ることも
ないのに。
「まあ、そう怒るなよ、部長。あんまり怒るとシワが増えるぞ?」
 あなたがそれを言いますか。
「誰のせいだと思ってるんですか、誰の」
 ああ、もう。まったく。……気にしてるのに。
「私のシワが取れなくなったら、先生に責任とって貰いますからね」
「何だ、そりゃ。……まあ、その時は俺が嫁に貰ってやるよ」
「え……」
 ちょ、ちょっと先生、今、なんて、言いました?
「おい、どうした部長?」
「いえ、そのっ……」
 かああっと顔が赤くなっていくのがわかる。頬が熱い。
 な、何を言ってるんですか、このちゃらんぽらん教師は!
「一応言っておくが、冗談だぞ」
 …………。
「ぶ、部長?」
「先生は私を怒らせたいんですか……」
 くっ、不覚にもまた先生のトラップに引っかかってしまった。
 先輩方、麻巳は……麻巳はまだまだ未熟です。
「やれやれ、わかったよ。今日はちゃんと部活に出てやるよ」
「……本当ですか?」
「なぜ信じない」
「先生を見ていれば当然だと思いますが、まあいいでしょう」
「なにがいいんだ……」
 とにもかくにも約束は取り付けたのだから。
 ここらで引いておくのが、上倉先生との上手な付き合い方というもの。
「それでは先生、放課後、よろしくお願いしますね」
「……」
「どうかしましたか?」
 急に先生が静かになったことが不思議で、私は先生に聞いてみた。
「いや、最初からその笑顔でお願いされていたら、すぐにオッケー
してたかな、と思ってな」
「もう、先生は冗談ばかりなんですから」
「いや、これは冗談じゃないんだがな……」
 先生の呟きは小さくて、私の耳には届かなかった。
「それでは私はこれで。……そうそう、もし先生が来なかった場合、
美術部伝統奥義が炸裂しますからね」
 にっこりと、今日一番の笑顔で私は微笑んだ。









おわり



あとがき



ほら、妙に長くなってしまって、変な感じです。
やっぱり、これは4コマがちょうどいいネタだと思うんですよ。
ちなみに、今回のタイトルは「Canvas2 DVD EDITION」の取説の4こまから
インスパイヤされました(えー



それでは、また次の作品で。



��006年10月17日 とある秋の1日♪



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