2007/07/07

「秘めたる想いをキャンバスに」(Canvas2)(竹内 麻巳)



 梅雨らしい雨がほとんど降らないまま6月は過ぎ行き、7月最初の部活の日。
 今日も今日とて、美術部の部室には生徒以外の姿はいない。
「まったく、あの不良教師は~」
「すみません……」
 美術部部長、竹内麻巳のぼやきを耳にした鳳仙エリスが謝る。
 エリスが謝る理由は、その不良教師がエリスの従兄の上倉浩樹だからだ。
「鳳仙さんのせいじゃないわ。悪いのは先生なんだから」
「でも、お兄ちゃん、今日は部活に出るからって約束してくれたんですけど~…」
 エリスがそう言ったとき、無情にもチャイムの音が鳴った。
「あぅ……」
 がくりとうなだれるエリスの肩に、麻巳はやさしく触れるのだった。



「お先に失礼します。竹内部長」
「お疲れ様。鳳仙さん」
 がらがら、と扉が閉まると、美術室には麻巳ひとりになった。
「さて、と」
 ひとり呟きキャンバスの前に座ってみたが、どうにもやる気が出ない。
「これが先生がいないから、だったらどんなに楽なのかしらね。いや、そのほうが
大変かも」
「何が楽なんだ」
「何が、と言われましても……って、上倉先生!」
「おう、すまん。遅くなったな」
 すちゃっと手を挙げて謝罪する浩樹。
「遅くなったじゃないですよ。もうみんな帰ってしまいましたよ?」
「そうだな、部活も終わっている時刻だし」
「……。先生、事実を淡々と述べられるのは構いませんが、美術部部長を
任されている身としましては、遅れた理由のひとつやふたつやみっつや
よっつぐらい聞かせていただきたいのですが」
 ゆらり、と立ち上がった麻巳は、イーゼルを構えた。
「いやいやおちつけおちつけ! 今日はサボりじゃなくて、準備してたんだよ」
「まだみっつ理由が残っていますが、とりあえず聞いておきましょうか。
準備って、何の準備ですか?」
 構えたイーゼルを下ろしたが、麻巳の視線は厳しい。
「撫子七夕祭だよ」



つづく(うわーん



ああっ、時間がなくなってしまいました。
いかにも時事ネタなのに、しかも他にも書きかけのお話あるのに。
元ネタはコミックスの2巻と4巻から。
解説は書き終えてからしますね。つか、解説なんてないほうがいいんですが。
明日につづきが書けると、いいなあ……。



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