2009/05/12
(ぷちSS)「誕生日のお祝いは」(処女はお姉さまに恋してる)(宮小路 瑞穂)
業務報告~。
SS「誕生日のお祝いは」を追加しました。
おとボクのヒロイン(?)、宮小路瑞穂さんの聖誕祭用のぷちSSです。
上のリンクからでも下のリンクからでも、お好きなほうから
どうぞなのですよ~。
上はいつものhtmlで、下ははてな仕様になります。
誕生日のお祝いは(処女はお姉さまに恋してる)(宮小路 瑞穂)
「おめでとうございます、瑞穂お姉さま!」
「おめでとうございますなのですよ、お姉さま」
「ありがとうございます。由佳里ちゃんに奏ちゃん」
六月のとある日曜日。寮の食堂で、僕の誕生パーティーが開かれていた。
誕生日自体はとっくに過ぎているんだけどね。だって、僕がこの『聖應女学院』に転入
したのは、六月だったんだから。
だから、普通なら誕生日パーティーなんてものは開かれることはなかったんだけど。
「え~、それじゃあ、私たちはこの寮で瑞穂お姉さまのお誕生日をお祝いすることができ
ないんですか?」
「奏、すごく残念なのですよ……」
しょうがないよね、僕、最上級生だから。
と、心の中では思っていたけど、奏ちゃんと由佳里ちゃんがあまりにもがっかりしてい
たので、
「それでは、来年の誕生日は二人にお祝いしてもらうことにしましょうか」
と言ったら、
「本当ですか、瑞穂お姉さま!」
由佳里ちゃんが目をきらきらさせて僕を見た。
「ええ、もちろんよ。ふふ。あ、でも、これじゃ私が催促しているみたいよね」
「そんなことないのですよ!」
今度は奏ちゃんだ。
「奏、お姉さまのこと大好きなのです。ですから、お姉さまが学院をご卒業されても、お
姉さまのお誕生日をお祝いしたい気持ちは変わりません」
そう言ってくれた奏ちゃんは、いつもよりも大きく見えた。
「それじゃあさ、今度の日曜に瑞穂ちゃんの誕生パーティーをやればいいじゃない。別に
誕生日を遅れてやっちゃいけないなんて法律も寮則も、ましてや校則もないんだし」
それまで、珍しくずっと黙っていたまりやが発言した。
そりゃ、そんな校則はないと思うけど……。なんというか、まりやらしいなあ。
「グッドアイディアです、まりやお姉さま! ね、奏ちゃん」
「はい! がんばりましょう、由佳里ちゃん。お姉さまも楽しみにしていてくださいなの
ですよ~」
このような経緯で、僕の誕生パーティーが急遽開かれることになった。
なお、そもそものきっかけとなる発言をしたまりやはというと。
「あ、ごめーん、瑞穂ちゃん。あたし、その日は用事があったんだ。だから、パーティー
は由佳里と奏ちゃんにがんばってもらってよ」
と言い残して、朝から出かけていった。
いや、別にいいんだけどね……。
パーティーは、大人数ではなくあくまでも内輪の、それも寮生の三人だけだったので、
寂しくなるかと思ったが、由佳里ちゃんの手料理に、話を聞いた寮母さんの差し入れ、奏
ちゃんの一人芝居など、とても楽しい時間が過ぎていった。
「由佳里ちゃんの料理はいつもおいしいけど、今日は特においしいわ」
「ありがとうございます、瑞穂お姉さま。この日のために特訓した甲斐がありました♪」
「まあ、由佳里ちゃんったら、ふふふ。そして、奏ちゃんの芝居もとても上手だったわ。
私、今まではあまり芝居を観たことはなかったのだけど、これからはファンになってしま
いそうよ。もちろん、私の一番のお気に入りの役者さんは奏ちゃんよ?」
「お、お姉さま、奏はまだまだなのですから、そんなに褒めてはダメなのですよ~」
顔を真っ赤にして、奏ちゃんがうつむいた。
「そして、寮母さんのキドニーパイも、とてもすばらしかったわね」
「はい! 寮母さんにレシピを教えていただいて作ってみたことがあるんですけど、なか
なかおいしく作れないです」
「奏も、由佳里ちゃんや寮母さんのようにお料理が上手になりたいですよ~」
「大丈夫よ。由佳里ちゃんも奏ちゃんも、きっと上手になるわ。そしたら、私にもお料理
を教えてもらえるかしら?」
「はい♪ 瑞穂お姉さま」
「はいなのですよ。お姉さま」
二人のうれしそうな声が重なった。
「まあ、うらやましいですわ、瑞穂さん。その時は、ぜひ私もご一緒させていただきたい
ものですわね」
「し、紫苑さん?」
食堂の入り口に突然現れた紫苑さんは、にこやかに笑っていた。
「こんにちは、瑞穂さん。そして、お誕生日おめでとうございます♪」
「あ、ありがとうございます、紫苑さん」
「それにしても、どうして私に話していただけなかったのか、残念ですわ。まりやさんが
いらっしゃらなかったら、私、きっと一生後悔していたと思います」
えっと、それはもしかしてこの誕生パーティーのことを言っているのでしょうか。
「だって、私も瑞穂さんのこと大好きなんですもの♪」
「私も瑞穂お姉さまのこと大好きです!」
「か、奏も先ほども言いましたが、お姉さまのこと大好きです!」
「もちろん、あたしも瑞穂ちゃんのこと、大好きだからね?」
「ま、まりやまで!」
そして紫苑さんの後ろに隠れるように、まりやが立っていた。
「う~ん、モテモテだねえ瑞穂ちゃん。こうなったら、いっそのことエルダーになっちゃ
うってのはどうなのさ」
「グッドアイディアです、まりやお姉さま! ね、奏ちゃん」
「はい! がんばりましょう、由佳里ちゃん。お姉さまも楽しみにしていてくださいなの
ですよ~」
「うふふ。私も影ながら応援させていただきますね♪」
「どう、瑞穂ちゃん。これがあたしからの誕生日プレゼントだよ」
「う、うれしくなーい!」
そんな僕の心中とは裏腹に、みんなは楽しそうに打ち合わせをはじめていた。
この時は、まさかエルダーになると思っていなかったから、心の底では気楽に構えてい
たんだけどね……。
おわり
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